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タケさんは続ける。
「僕、騒がれるのが嫌でね。特定のメディアでしか個人情報は流さないようにしているんです。どこで知りましたか?」
何を言っているのか理解するのに少し時間がかかった。
「ネットです」
嘘はついていない。
「そうですか。では……」
タケさんは俺をリビングまで案内すると、何やら奥の棚から紙を取り出し、それをテーブルに置いた。見覚えのある図だったから思わず驚いた。ついさっき見ていた地図と同じやつだ。
「勘に任せて適当に辿り着いたわけではないでしょう?どうして僕の家がここになるのか、考えを聞かせて下さい」
タケさんはそう言って、ニッと口の端を上げてみせた。
――……試されている。
根拠なんて何もないけど、そう感じた。単純に愛想笑いを向けているんでなく、俺の反応を見て楽しんでいるように思える。
まぁ、相手の肩書きが肩書きだ、先入観のせいでもあると思うが。
どちらにせよ……。
(受けて立とうじゃねぇか)
「分かりました。じゃあ、説明します」
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