第1話「噂の名探偵」

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   タケさんは続ける。 「僕、騒がれるのが嫌でね。特定のメディアでしか個人情報は流さないようにしているんです。どこで知りましたか?」  何を言っているのか理解するのに少し時間がかかった。 「ネットです」  嘘はついていない。 「そうですか。では……」  タケさんは俺をリビングまで案内すると、何やら奥の棚から紙を取り出し、それをテーブルに置いた。見覚えのある図だったから思わず驚いた。ついさっき見ていた地図と同じやつだ。 「勘に任せて適当に辿り着いたわけではないでしょう?どうして僕の家がここになるのか、考えを聞かせて下さい」  タケさんはそう言って、ニッと口の端を上げてみせた。  ――……試されている。  根拠なんて何もないけど、そう感じた。単純に愛想笑いを向けているんでなく、俺の反応を見て楽しんでいるように思える。  まぁ、相手の肩書きが肩書きだ、先入観のせいでもあると思うが。  どちらにせよ……。 (受けて立とうじゃねぇか) 「分かりました。じゃあ、説明します」
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