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「この地図、書き込んでもいいですか?」
「構いませんよ」
俺は黒と赤のペンとマーカーを取り出して、同じくテーブルに置いた。何もしないままだと説明しにくい。
「まず気になったのは、『眩しい太陽』で起きるという言葉です。眩しいんだから、朝日が直に寝室に差し込んでくるはず。よって東に家が隣接している場所は除外されます」
除外される場所にペンで斜線を引いていく。タケさんは何も言わず俺の作業に見入っているみたいだ。
「そしてブロックの角ではないので、そこも除外。これで大半の部分が消えました」
「なるほどね。残るは公園側の縦のブロックと、東側の斜めのブロック……」
「『小鳥たち』は公園側だと思わせるための引っ掛けです。重要なのは時間帯と、『子ども』という言葉」
地図の余白に適当な棒人間を描いた。
「子どもと聞くと幼稚園児から小学生ぐらいの年齢を想像しがちですが、それが違う。朝日が差し込んで大人が起きるような時に、幼稚園児が公園で遊んでいることはない。小学生は登校しますけど」
「この家は登校途中の小学生の声なんて聞こえませんよ?」
「だから、小学生じゃないんです」
「……ふむ」
タケさんは腕組みをし、少し目を細めた。
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