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俺と緒方は終礼が終わるとすぐに最寄り駅に向かった。
松林はここから電車で三駅。駅の近くなら不便というほどには至らないが、比較的に田んぼの多い地域で人口は少なめだ。西側は海に面していて、読んで字のごとく何本もの松が並んでいる。
(やっぱりおかしい)
漫画やら小説に出てくる探偵を思い浮かべると、ニュースに取り上げられるぐらいの大事件を華麗に解決!なんて言うイメージがどうしても離れない。
でも実際の仕事は意外と地味だって話をどこかで見たような、聞いたような……。
つまり、ただでさえ地味な職業なのにこんな田舎でやっていけるのかが疑問なわけで。
(いや、口コミで広がるぐらいならそれなりに仕事はこなしてるハズ……)
そんな風に考えを巡らせているうちに松林駅に着いた。
さっきから妙に緒方が静かだと思ったら、案の定口を半開きにして寝ている。そのマヌケな面に腹が立ち、アナウンスと同時にでこピンをお見舞いしてやった。
「降りるぞ」
「へあっ!?……あぁそうだ、タケさんの……うん」
目を覚ました緒方が付いて来るのを確認しながら、改札口へ急いだ。
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