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自然と早足になってくる。何だかんだで気になるものは気になるし。でもその足も駅の出口で止まってしまった。
「おい緒方……お前ちゃんと場所分かってんだろうな」
「ん?何が?」
「タケさんの家の場所だよ」
「…………」
緒方の表情が一瞬固まった。……嫌な予感。ちなみに、俺の嫌な予感はどんなタイミングだろうとほぼ100パーセントの確率で当たる。
変に泳いでいる緒方の目が俺の顔をとらえた。
「し……、知らない…………。アハ」
予想的中。こんなことだろうとは思っていた。しかしだからと言って対策を練っているわけでもなかった。
「おまっ……『アハ』じゃねぇよバカヤロー!電車賃ムダになるとか嫌だぞ俺!覚えてる情報ねぇの!?」
「あっ本人の普段の生活の情報なら聞いた!……噂で」
「とにかく教えろ!」
最後にボソッと苛立つ単語が聞こえたがスルーだ。
「まず、屋根は黒」
……近辺の住宅のほとんどの屋根が黒だという現実。溜め息が出る。
「それから家のブロックの角じゃなくて、あと」
「待て。地図見に行こう」
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