第1話「噂の名探偵」

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   自然と早足になってくる。何だかんだで気になるものは気になるし。でもその足も駅の出口で止まってしまった。 「おい緒方……お前ちゃんと場所分かってんだろうな」 「ん?何が?」 「タケさんの家の場所だよ」 「…………」  緒方の表情が一瞬固まった。……嫌な予感。ちなみに、俺の嫌な予感はどんなタイミングだろうとほぼ100パーセントの確率で当たる。  変に泳いでいる緒方の目が俺の顔をとらえた。 「し……、知らない…………。アハ」  予想的中。こんなことだろうとは思っていた。しかしだからと言って対策を練っているわけでもなかった。 「おまっ……『アハ』じゃねぇよバカヤロー!電車賃ムダになるとか嫌だぞ俺!覚えてる情報ねぇの!?」 「あっ本人の普段の生活の情報なら聞いた!……噂で」 「とにかく教えろ!」  最後にボソッと苛立つ単語が聞こえたがスルーだ。 「まず、屋根は黒」  ……近辺の住宅のほとんどの屋根が黒だという現実。溜め息が出る。 「それから家のブロックの角じゃなくて、あと」 「待て。地図見に行こう」
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