今のまま

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「じゃあ、暑いけど頑張ってくださいね、ひなのさん。」 父と私は乗るホームが違う為、改札をくぐった先で別れた。 「お父さんも。」 実は前髪が邪魔でよく見えないけれど、私は父が居るだろう方向へ手を振った。 と。 ドン!という鈍い音と痛みが走って、人にぶつかってしまったことを知る。 「す、すいませ…」 「前見て歩けよ、ブス!」 「ごめんなさい…」 とんでもないことをしてしまったと、ドキドキしながら謝った。 舌打ちの音が直ぐにして、前髪の隙間から走り去った大学生くらいの男の人が見えた。 このラッシュ時に、ふらふらしていた私がいけない。 皆、急いでいるんだろうなぁ。 私は早目に家を出ているので、いつも学校の門が開く時間には到着する。 一本遅れても、大して変わらない。 本当に申し訳ないことをしてしまった。 あぁでも、あの人、良い人だ。 ちゃんと前を見て歩きなさい、と教えてくれた。 知ってはいたけど、私は確かにできていなかった。 気をつけよう。 ありがとうございますと言えば良かった。 失敗しちゃったな。
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