死神と教惶

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《…なんだ…こいつ?》 死神は眉が激しく上下する。 そしてふくろうの様に首だけ回し 教惶を見る。 140度ほど回った首を髪が乱れるほど 勢いをつけて戻し死神は答えた。 「神… それを作るのは人間だ。 人間が“絶対的な存在”に対して 作り上げた偶像だ。 だから土地や人によって神は違う。 今俺たちもまた “神”から“現象”に成り下がりつつある。 神として死にかけている。」 死神の答えに教惶は笑った。 その笑いは徐々に大きくなる。 死神はその対応に分からず頭を掻く。 「おい、てめーの【殺意】は?」 「はっはっ…すまない。 そんなものは必要ない。」 「?」 「【殺意】は抱いているが… …それは私が叶えなくてもいい。」 「…【殺意】の代行か?」 「…代行?そんなぬるいものじゃない。」 「…。」 教惶は死神に近づいた。 「…見ていろ!死神!!」 「…。」 「お前が【死】という“絶対的な存在”。 そういう神というのなら 私は【死】以上の絶対的な存在になろう! 私が神になる!!」 「……。」 死神はその場から黒い煙の様になり消えた。 死神は教惶の居た建物を見える ビルの壁に垂直に立つ。 《…変な奴だ… 【殺意】は確かに広がっているのに… 奴の【殺意】は今実行する気を感じねぇ。 …神になる… …どうなんだがな…。》 死神はビルの壁から隣のビルの屋上へ。 そして街を見下ろす。 《……どうやら… あいつの影響は見届けてみるか…。 奴に似た【殺意】が広がっている。 今叶える気の無い……【殺意】が。》
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