死神と教惶

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教惶と大学生は小さな個室へ。 ホテルのワンルームの様に綺麗であるが 無駄も無い。 そこに一台のパソコンとタブレット端末が。 「…君、名前は?」 「“高木 渉(タカギ ワタル)”です。」 「そうか…。」 教惶はパソコンの画面を開いた。 そこには名簿がある。 セオリマ教の信者達の名前だ。 「…これは君と同じく 私を信じてくれている人々のリストだ。」 「はい…?」 教惶は少し下から渉を覗き込んだ。 「…君は最近流行の インターネット中継を知っているかい?」 「はい。」 「それが、私はできなくてね…。」 「ネット配信するんですか?」 「ああ。そのつもりなんだ。 しかし、ネット犯罪やこういった画面を通すことの メリットやデメリットが分からない。 信者のリスト見てくれ。 全部で27の府都県に信者がいるんだ。 しかし、このまま講演来てもらい続けるのは “なんだいやな予感がするんだ”。」 教惶は言った。 わざと最後の言葉強調し 心の力を磨いたように。 「…なるほど…。」 「どうだろう? 私は君なら隠さずありのままを放してくれると思うのだ。 どっかの売り上げを伸ばそうとしているだけの業者と 違って、中立で。 タブレットでもパソコンでもできたら 講演をかなりリアルタイムでできると思うんだ。 できるかな?そしておしえてくれるかな?」 「…はい…!! 大丈夫です!」 渉は教惶にお辞儀をしてパソコンをいじりだした。 その横で教惶はにんまりと笑っている。
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