死神と信者達

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彼女は教惶の話を聞いた後に 彼に優しく帰るように促された。 長い帰り道、彼女は教惶の講演と 最後の会話を思い出しいていた。 《…心を磨けば嫌な予感が分かる。 それは人が本来持つ力。 今の世の中でその力は無くなりつつある。 …心と心がぶつかることはある。 だから喧嘩や戦争も起こる。 でもそれはお互いに納得している。 間違いは…世の中の基準。 教惶様は…セオリマ教を通じて人の心を呼び覚ましている。 …なら私は……私のできることは… 間違った基準と戦うこと!?》 彼女は家に帰る。 そしてセオリマ教の書をいつも以上に真剣に読んだ。 翌日、また翌日と日を重ねるたびに セオリマ教の言葉と教惶の言葉が彼女の頭を埋め 同時に世の中に、心を無視した基準が嫌になっていく。 地方銀行で個人情報の漏洩が本当に起きた。 そう機械で整備されていることは 安全といわれているけど、人の心はない。 その機械のシステムより、教惶様の心のが正しい。 そう思うと徐々にたださえ嫌な世の中が 余計に嫌になっていく。 そして自分が何かしたいと思えてきた。 彼女の思いは翌週。 同じ授業で爆発した。 いつもと同じようなこと。 綺麗な女生徒は今週の発表用の スライドを用意しなかった。 先生はそれを笑顔で容認したが 彼女は課題に対してかなりの注意を受けた。 《……何なの…? …どうして…私にはそんな扱いなの? …どうして、課題をしなかった あなたたちが笑っているの!?》 彼女は自分の中である想いが目を覚ました。 「!!」 《来たか!?》 大学のモニュメントのてっぺんに 立っていた死神が目を開いた。
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