予言

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「…理 教惶さん!」 一人が手を上げた。 「何かな?」 「なんで予言ができるんですか?」 教惶は首を横に振った。 「…私に限った話しではない。 みなできるのだ。」 「!?」 「…はっきり言おう。 さっきも言ったが心が読めるのではない。 つまりこの予言は人の起こすものではない。 だからできる。 心という複雑なものではく 単純な事象だ。 例えば日々みなもしている 危険回避だ。 なんとなく危なそう。 なんとなく今日は転びそう。 そんなこと思わないかな? それは人の心でない単純は事象だからだ。 心とは複雑で高度なもの。 いわば我々人間に与えられた最大の能力だ。 それを極限まで高めたからだ。」 「…われわれは… 予言できない物は人間じゃないのですか?」 教惶はうなずいた。 「我々の心は今の社会に毒されている。 不況、不振、機械化、疑惑。 昔できていた人のつながりがなくなりつつある。 それは心が弱まり人間としての 本当の力がなくなりつつあることを意味している。 信じること、思うこと、繋がる事。 それが心を研ぎ澄ませ豊な力を与える。 他人のために何をしたらいいか。 これは危険である。 予想がつくようになると、 更につながりは良くなる。 さあ、私と来ないか皆? 人間の本来あるべき姿へ。」 そういいながら教惶は真っ黒なサングラスを外した。 大きく、輝き、透き通る瞳。 若く、揺るぎの無い、吸い込むような 瞳はまた人々をとりこにしていくのだった。
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