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人ごみを掻き分けるようにして魔導紙売り場にたどり着く。広く取られたスペースなのにもかかわらず、レジに負けず劣らずの込み具合だった。
「あー、やっぱし無い……」
ユユお目当ての水の魔導紙コーナーはもう空だった。今年の水選択者が多いという話は本当だったらしい。意外と値段も張る5mmも残り数枚といったところだ。
「残念だったな、ユユ。次の入荷まで待つしかないな」
「次っていつよ」
「さあ……。来月かな」
いつもは月初めに入荷される魔導紙。だが、たまに月の半ばに入荷されることもある。けれど、望みをかけるには頼りない数値だ。
「はあ、しょうがない。ママにお小遣いの前借りを要求するか」
駅前にある店ならあるでしょ、三割ほど高めだけど。そう続ける。
「悪いな」
「もういいわ」
ユユが諦めて水の魔導紙棚に背を向けたとき、「あ、ここにいたんだ」と声がした。
二人の元に、人ごみをかき分けてやってくる大きな体。もう買い物をしてきたのか、両手には紙袋が一つずつ握られていた。運動を続けているおかげで、体つきは見事なもの。トトー\V\ゼンギ。元々北のほうにいたらしいのだが、親の都合でこっちに引っ越してきたのだ。
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