第一章

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「おーー、流石に残ってる残ってる。と言うか、売れてないんじゃないか、これ」 水はもちろんのこと、火も光も、そしてほかの魔導紙も人気の1mmはほぼ売り切れだった。それがこれはどうだろう。1mmが丸々残っている。バラバラになっていないところをみると、誰も手をつけていないのではないだろうか。 「まあ、人気不人気で選んだわけじゃないけどさ」 それでも、やはりレン以外選択者がいないとなると少し寂しい。試験のときや普段の会話でも、同じ話をできる人がいないのだ。自ら選んだとはいえ、後悔がないといえば嘘になる。 「えっと、まずは」 今日は1mmを10枚、そして2、3、5mmを5枚ずつ購入する予定だ。と思ったが、今日は思い切って1cmにも手を出してみようか。そんなことを思いながら、魔導紙を物色。汚れた綺麗だで性能に違いなどでないが、それでも綺麗なのを手に取る。レジに向かおうとしたとき、ポンと肩を叩かれた。 ゼンギだった。 「おう、ユユから解放されたか」 「ん……朝から疲れたよ」 ただ異性に抱きつかれただけだというのに、ゼンギは全力疾走を終えたあとのようになっている。朝からこんな体力を消耗して、今日一日持つのだろうか。 「レンはお目当てのものはあったの?」 「十分過ぎるぐらいにな。というか、壁の魔導紙なんかいつでも余ってるんだから、わざわざ朝から並ぶ必要もないんだけど」 「確かに。ああ、でも早くレジに行かないとマズイよ。予鈴が鳴っちゃう」 「え? もうそんな時間か? ヤバッ早くしないと」 合計25枚の魔導紙を手に、レジに走る。 魔導紙を片手に一喜一憂、右往左往する。それはリクセート学園では毎月見られる光景だった。
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