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新しい魔導紙を買い込み、興奮しているクラスメイト達。レンも、前でキラキラした目で新しい魔導紙を見つけるユユを見て、机に立て肘を付いていた。
「やっぱり新品はいいわー」
「ちゃんとゼンギにお礼言ったんだろうな」
「言ったわよ。もちろん、お金も払ったし。お礼にほっぺにチューもしてあげようかって言ったけど、全力で否定されたわ。ちょっとショックだった」
「……顔真っ赤だっただろ、あいつ」
「というか『成人前の女性がそんなはしたないことは』ってお父さんみたいなことを言われたわ」
その姿が容易に想像できすぎて嫌になる。
「いい奴なんだよ。本当に」
「あんたも大概いい奴よ」
天井のスピーカーから予鈴が鳴って、クラス内がざわついた。席に戻ろうと移動を始める級友。レンとユユはもともと席についていたため、それを見ながら会話を続けていた。やがて担任のクーロ先生が入ってきた。若い女性の先生だが、どの先生より歳が近いために、生徒との距離が近く馴染みやすいと評判の先生だ。
クーロ先生はゆったりとした動作で教壇に立ち、そしてまだ高揚しているクラスメイトを見て、なにか悟ったらしい。まだざわつきは収まっていなかったが、日直に朝の号令をかけるように指示を出した。
朝の挨拶に始まり、簡単な連絡事項を述べる。聞き流してもなんら問題のないことのあと、その話が始まった。
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