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そんな私に向かってクスッと笑う宮沢先生は、
「相田さんって、もっと暗い子なのかと思ってたわ。笑うこともあるのね。
でもね、勘違いしちゃダメよ。西村先生は、アナタが生徒だから優しくしてるのよ?だから、恋心なんかで先生を困らせないようにね」
最後にフンッと、鼻で笑ってクルリと背を向けて、仁ちゃんの後を追いかけていった。
その背中が、校舎の中に消えるまでみつめながら、
「仁ちゃんは私の彼氏ですけど」
と叫びたい衝動を堪えた。
そして、叫べないモヤモヤは、塊となって体の底の方へと沈んでいった。
宮沢先生……嫌い。
塊は心の底から私にそう語りかける。
「あー。ダメだ。なに言ってんの私」
ブンブンと頭を振って打ち消した。
さっき、仁ちゃんは『私の中のモノ』を全て知りたいって言ってくれた。
私も知ってもらいたいって言ったけど……
この気持ちは……知られたくないな。
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