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『ウゥーン……P-driveヲ起動シマス。システム確認中…登録データ認証…プレイヤー健康状態確認中………完了』
音声が耳の奥へ届くと同時に、俺の意識は黒一色の世界へと沈んでいく。
気付けば俺は簡素な木の椅子に座っていた。
「さて、簡単な質問をいくつかさせてもらうよ。君の名前は?」
「え、あ、斎藤良太です」
目の前には紺色の警察官のような制服を着た若い男。
何やらペンを片手に紙に記入している様だ。
……あ、あぁ。確か入国手続きって設定から始まるんだったな。
「斎藤、良太、でいいんだね?」
おっと危ない。これじゃ毎回毎回CPUから斎藤良太って呼ばれることになっちまう。
「いえ、リョウでお願いします」
「リョウ、でいいんだね?」
「はい」
俺は最近あるゲームにハマっている。
P-driveっていう2、3年前に発売された夢みたいなゲーム機だ。
ずっと予約してたんだが、あまりにヒットし過ぎて在庫もないし、製造も間に合わない。
先行予約に乗り遅れた俺がこれを手に入れたのは予約から約10か月後のことだった。
これはクラスのやつらもみんなやってる。
男も女も、てか世界中の人間がやってるって言っても過言じゃないゲームだ。
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