第1話

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『ウゥーン……P-driveヲ起動シマス。システム確認中…登録データ認証…プレイヤー健康状態確認中………完了』 音声が耳の奥へ届くと同時に、俺の意識は黒一色の世界へと沈んでいく。 気付けば俺は簡素な木の椅子に座っていた。 「さて、簡単な質問をいくつかさせてもらうよ。君の名前は?」 「え、あ、斎藤良太です」 目の前には紺色の警察官のような制服を着た若い男。 何やらペンを片手に紙に記入している様だ。 ……あ、あぁ。確か入国手続きって設定から始まるんだったな。 「斎藤、良太、でいいんだね?」 おっと危ない。これじゃ毎回毎回CPUから斎藤良太って呼ばれることになっちまう。 「いえ、リョウでお願いします」 「リョウ、でいいんだね?」 「はい」 俺は最近あるゲームにハマっている。 P-driveっていう2、3年前に発売された夢みたいなゲーム機だ。 ずっと予約してたんだが、あまりにヒットし過ぎて在庫もないし、製造も間に合わない。 先行予約に乗り遅れた俺がこれを手に入れたのは予約から約10か月後のことだった。 これはクラスのやつらもみんなやってる。 男も女も、てか世界中の人間がやってるって言っても過言じゃないゲームだ。
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