第1話

5/5
前へ
/5ページ
次へ
「ごめんなさい、心配かけて。もう大丈夫です」 こうなった時にいつも言ってきた台詞。 今日もつっかえずに言えた。 なのに。 「本当に?何があったの?」 彼は心配症らしい。 しつこいくらいに聞いてくる。 でも大丈夫。 まだ隠せる。 「はい。ちょっと今日は貧血気味で。すみません、本当に」 貧血、というのは便利だ。 保健室に行くほどでもないが、軽い目眩などは誤魔化せる。 案の定、藍野くんも見事に引っ掛かった。 でもペナルティ付きで。 「そっか。じゃあ心配だから俺、ずっと今日ついてるね」 ……いらないのですが。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加