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あまりの光景に学者は驚愕し、自分がしてきた事の過ちに初めて気付いた瞬間だった。
原因がどうであれ何とかしなくてはいけないと思い、政府に連絡をとったが返ってきた返答はこの地区を完全に隔離して他の地区には知られないように処理する、だった。
その返答を聞き、落胆した学者は空を見上げ日の光が無いことに初めて気付いたのだとか。
空の原因は実験の影響だろうとしか今の所わからないらしい。
ようやく話が終わりにわかには信じられない事なのだか、信じざる負えないだけの学者の憔悴しきった顔を見れば明らかである。
最後に俺は尋ねてみた。
『この地区の人達はやっぱり』
ほぼ全員が変貌していったそうだ。
怖い夢でも見ているような恐怖を覚え、学者に『解決策とかは無いんですか?』そう聞いたが、学者は首を横に振っている。
そんな、突然の真実に頭がついていかないが、何とか平静を装っていた。
話はこれで終わり、学者は家を後にした。
帰り際、学者はこんな事を口にした。
まだ実験は終わっていない、今度は君のいる地区で近々実験が行われる。手遅れになる前にここを出た方が良い、そう言い残し去っていった。
それが学者を見た最後の姿だった。
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