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暗闇の中、さながら悪代官にさらわれた町娘のようにあれよあれよと両手を縛られたシュウは、大きな日本家屋に連行された。
「オジィー!『コロシヤ』捕まえたで~!!」
玄関の灯りでシュウはようやく自分を連行した人間を見た。
どう考えても中学生のシュウより年下である。
「何事や、アキラよぉ?」
丸坊主で背筋がシャンとしている優しそうなお爺さんが出てきた。
「おじぃ、こいつアレだよ。『コロシヤ』だよ!」
そのセリフは何回も聞いたという笑みを浮かべお爺さんはシュウを眺めた。
「バカもん、アキラ。この人がそんな風に見えるかい?」
と優しく諭すとシュウに向き直って
「旅の御方かな?孫が迷惑かけてすまなかったねえ。けど夜の山道は感心しないなぁ。町までは遠いし泊まっていくかい?」
シュウは、全力で(あれ?これラッキーじゃね?)という表情を隠しお言葉に甘えることにした。
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