カラス天狗が泣いた

2/23
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
  [昔々、カラス天狗の子どもが人間に混ざって街で暮らしておりました。何年もの月日が経ち、その天狗は今……] 「ねぇ真木(マキ)くん」 「い、いやオレは別にそんなつもりじゃ」 [校舎裏にて女(年上)に詰め寄られ中。] 「いいでしょ?お願い」  するりと首筋に這う手を叩き落とそうと思った時にはもう遅かった。 「私のものになってよ…」  女の唇とオレの唇が重なる。 「!!」 こんなに接近されると 「ん、う」 どうしても 「うっ…」 「! どうしたの真木くん」 「うえぇぇええッ唾液がぁああああ!!」 本心が出る。 (人間の唾液が……!!)口に!! 「き…貴様…ッよくもこのオレに接吻なんぞ…!」 「なっ…し、失礼ね!だいたいアンタが」 「やかましいわ小娘!とっとと失せろ!二度とオレの前に現れるな!」 「~~~~っ年下のくせに… もういいわよ勝手にしてっ!」  つかつかと立ち去る女の後ろ姿を睨みつける。口の端を何回拭っても不快感が消えない。  なァ~~にが 『私のものになってよ(はあと)』  だあのアマ!  ナメやがって  オレの方が60年長く生きてんだぞ!  真木理瑠[マキサトル](仮名)。  人間年齢約17歳。  この姿に変化(ヘンゲ)してから、はや80年。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!