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自宅マンションへと帰ってきた柏木は、鞄をソファーに、夕食として買ってきたホットモッ○のお弁当をテーブルの上に置くと、嫌な汗を洗い流そうと服を脱いで浴槽へと入っていった。
頭からシャワーを浴びて全身を流して嫌な気持ちをリセットさせて、一旦シャワーを止めてドカッと腰掛けに腰を下ろす。
気分が一息ついたところでシャンプーを手に取り、泡立てて頭を洗っていく。
『今日のは、ちょっと危なかったかな…』
頭で泡立つ音を感じながら、ふと帰りに見てしまったモノを思い出す。
先程の数十秒浴びたシャワーのお湯と共に、嫌な気分を洗い流した柏木は、改めてあれが何だったのだろうかと考えを巡らせ始めた。
自殺者の霊だったのだろうか?それとも事故死した被害者の霊だったのだろうか?ただの浮遊霊なのか、何か を求めて彷徨って居るのか…
頭を流す事も忘れて考える事に没頭していた柏木は、今日はあまり体調がすぐれない事を思い出し、冷えてしまう前にさっさと身体を洗って湯船で暖まろうと、シャワーで頭を流していく。
と、頭を流していると、背後からフッと何かの視線を感じた。
流し終えてから何だろうと振り返ってみるも、そこには何もない。
気にせずスポンジとボディソープを手に取り、身体を洗っていると、再び何かの視線を感じた。
がやはり、振り返っても何も無い。
おかしいなと思いつつ、彼は何気にそのまま斜め上を見上げた。
…こんな話を聞いた事はないだろうか?
お風呂場で身体を洗っているとき、背後に何かの視線を感じて後ろを見ても誰も何も見えない。
なぜなら、その視線を送っているモノは、真後ろではなく斜め後ろの天井に居るからだ。
だから、そんな時は後ろを見上げてはならない、目が合ったその相手が、何をしてくるか解らないから…
そして。
斜め後ろを見上げた柏木が見たモノは。
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