13 来訪者

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 話すべきかどうか迷った柏木だったが、すでに知っている真光以外には話すなよと断った上で、彼は自分の生い立ちを、要点だけを簡略して説明し、夕刻の風呂場で意識を失った所までを説明した。 「…で、ここに来る前に、伯母さんに助けを求めて連絡した時に教えられたんだが、俺の守護霊の中で主となって護っている奴が、心を改めない俺に業を煮やしたらしくってな… 役目を放棄しているらしい」 「え?役目って…」 「俺を護る事だ」  聞かされて竹中は、口をあんぐりと開けたまま固まる。  彼の能力は幽霊などを見たり声を聞いたりする事はは出来るが、守護霊と対話したりオーラを見たりする力は弱い。弱いというより、何となく感じてるだけで、ほぼ解らないと言ってもいい。  修行して鍛えれば変わるだろうが、そのつもりなどない竹中は、守護霊という存在と真剣に向き合って考えた事などなかったので、今聞いた柏木の話は衝撃と言ってよかった。 「じゃあ、今すぐ考え改めてくださいよ」 「断固として断る」 「いやいや…現にこんなのに取り憑かれそうになっているじゃないですか」  そう言って竹中はベランダを、『こんなのとは何よ!』とでも言っていそうな形相の女の霊を指差す。 「…悪いがな、これは俺の戦いなんだ」  意味の解らない拘りと言おうか、単に我が儘なだけなのか、簡単に説得に応じそうにない態度を見せられて、彼は思わず天を仰ぐ。 「…あのですね、僕は明日テストなんですよ。こういうのに巻き込まないでくれませんか?」 「なあに、今回成績が振るわなかったら補習受ければいいじゃんか」 「それが面倒だから頑張ってんですよ!とにかく、ここから出て行って下さい!」 「出て行けって…どこ行きゃいいんだよ!」 「師匠の…真光さんの所に行ってください!」 「あいつのお寺どこか知らないんだよ!」 「じゃ、今から教えますよ!」  言いながらスマホを取り出し、サイレントで気付いていなかった姉からの数件の着信通知を消去し、地図アプリをタップして開いた。  と、その時。 「ただいま~」  玄関から何も知らない姉の、アルコール混じりの陽気な声が聞こえてきた。  そして彼女がリビングに入ってきた時、その異変は起きた。 「…ちょ、何急に電気消してんのよ」  晴佳の立っているすぐ傍にスイッチはあり、誰もそこには触れていない、なのに明かりは消えてしまった。
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