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「あぁなるほど、八雲レンズですか…」
同じ0,95、その名前を出された店員は思わず押し黙る。
「八雲の…何mmのレンズなんです?」
「25mmですよ」
「ははぁ…」
何か良い事でも思い付いたのか、不敵な笑みを浮かべてレジの奥に置かれたファイルを手に取り、パラパラとめくって竹中に見せた。
「同じ八雲の0,95のレンズで50mmと17,5mmがウチの倉庫に保管されているんですけど、50mmは1型なんですけど、17,5mmは2/3型なんですね」
と、写真とスペックが印刷された箇所を指差す。
「…だからね、1型の50mm・25mmと比べると、17,5mmの方は四隅のケラレが目立っちゃうんですよ」
「ああ…そうなんですか」
店員のいう1型というのはイメージセンサーサイズの事で、ニコ○-1が採用しているサイズがこれである。そして2/3は、その1型のサイズの対角線2/3の大きさになる。
「50mmと25mmなら、トリミングをするとか手立てはありますが、17,5mmだとケラレのせいでその範囲が厳しくなってきます…そこで」
そう言って店員はNOKTON42,5mmの横を指差す。
そこにあるのは同じメーカーのNOKTON17,5mmF0,95。同じくMFの単焦点レンズだ。
「これだと一型どころかマイクロフォーサーズ用なんで、OM-Dシリーズで隅々までキレイに写せますよ」
しかし値札を見てみれば…
「九万六千って…ほぼ十万は高いって」
「それだけの価値はあると思いますが?」
「でも、そんなお金は…」
そうぼやきながらもレンズから視線を外そうとしない竹中の背中を、店員はバンと叩いてきた。
「高校生が簡単に買えない事ぐらい解ってますよ、二年後の大学の入学祝いの候補にでもしといてくださいって事で」
そう言ってニコニコと笑う。
「毎度有り難うございま~す」
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