第3話

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実際弁護士としての私の知識など必要が無かった。 老人が誤解しているだけで、私に出来るのは単に手続き程度の事だけだ。 それでも彼には、金持ち特有の嫌味な態度も無い。 「沢木さん、祖父はどうでしたか?」 「ええ、今日は比較的ご気分が良さそうでした」 「そうですか…中々お見舞いにもゆけず残念です」 本間の息がかかった企業は膨大な数に上る。床に臥せった会長の代行として、恐ろしい数の稟議や決裁を行っていた。
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