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「沢木さん…」
不意に純一がデスクから目を離して振り向いた。
「はい、純一さん。何でしょうか?」
「お手数ですが、明日の午後お見舞いに行こうと思うのですが一緒に行っていただけますか?」
白い肌が、それ以上に青白く見えた。珍しく表情も強張っている。
得体の知れない迫力に戸惑って、彼の表情が示す事が何かすら聞けない。
「わかりました。十二時で宜しいですか?」
純一は少し考え込み、三十分早くして下さいと告げた。
その時には既に何時もの純一だった。
純一の外出は手間がかかる。不慮の事故…それが一番恐いのだ。
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