第3話

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莫大な資産と共に純一が引継いだのは、同じぐらいに大きな負の遺産なのかも知れない。 本間家は戦後日本の闇とも云うべき情報を握っている。 表社会、裏社会の繋がりや財閥解体のどさくさに紛れて財や権力を成した者達はその存在に怯えている。 純一の持つ特別な才能…それは老人から隔世遺伝的に引き継がれたものなのかも知れない。 どこ迄が本当なのかは、未だに理解が出来る事はない。 殆どの物事は、彼らの言う通りに進んでゆくのだ。 純一が老人の死を予期した事など、今では何の感慨もない。 もしかすると純一が受け継いだ闇は、全て老人が仕掛けたものなのかも知れない。 世の中を見通す力があるのならば、そうした闇の部分を情報として残す事も出来たのだろう。
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