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「姫様。お気をつけなさい。土佐には狂鬼が多いから。」
土佐の戦国大名の嫡男として生まれた長宗我部元親は、そう言われて育った。
「分かっております。」
土佐には狂鬼が多く、長宗我部の後継ぎたる元親は半狂鬼にしてはならぬと、家来は厳重な警戒をしていたため、元親は城に監禁されていた。
そのためか元親は綾取りやままごとなど、女遊びしかしなくなってしまった。
いつしか元親は女の振る舞いしかできなくなり、ついたあだ名は姫若子。
父の国親は元親が成長していくにつれて、元親について真剣に悩むようになっていった。
元親は、
「私は姫です。決して武士にはなりませぬ。」
国親に何を言われても、そう応えるだけであった。
国親には、元親の他にも男子がある。
特に元親の次の親貞は武芸に優れ、家来からも慕われ、跡継ぎに適していた。
しかし、戦国時代のルール。
それは跡継ぎは長男でなければならないというものだ。
勿論そのルールも大切だし、国親自身なんとなく元親には期待していたから、なんとかして元親に継がせたかった。
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