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「知らないよ?今から探すんだよっ」
……お笑いのコントみたいに転ぶところだった。あんなこと現実でやったら滑るに違いない、危ない危ない。
「知らないってなずな……」
ここで僕は文句を言うのをやめた。そういうキャラだ、そうやって割り切った。それに「えへへっ」なんて困った顔で誤魔化し笑いをされたら何も言い返せやしない。
「でも当てはあるよ。ほら、楓のクラス」
そう言って僕の目の前に来ると、右手の四本、左手の一本の指を立て、一息ついて続ける。
「楓は一年の四組だよんっ!」
語尾を跳ねさせてどうだと言わんばかりに自慢げな顔をして僕の方を見てきた。目を凛々しく開き、口元は片方の口角を上げ笑みを浮かべてる。
それに、どうでもいいけど残念ながら、僕から見たら四年の一組に見える。そこまで配慮できたらなずなはいいお嫁さんになりそうなのにね。
もしかしたら、いや多分「わあすごい!」みたいな賞賛の言葉を期待してるんだろうなあ。
「そっか、じゃあ行こう」
あえて若干冷たくする。
するといきなり眉間にシワを寄せて怒ったような表情をする。
「わあすごい! とかないの!?」
どうやら僕の期待に応えてくれたみたいだね。笑ってしまいそうだ。
「ないね。さあ早く、楓は待ってくれない」
いつの間にか止まってた足を急発進しその上加速させる。あくまで他の通行人の迷惑にならない程度にだけど。
「あっ、ちょっと梗介ぇ!」
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