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「上手く逃げ切れて良かったわ」
「ああ全くだ。こんな事は二度とやりたくないね」
後部座席から降りて最速愚痴を漏らす。だいたい高校生の俺になにやらせるんだって話だし、俺も躊躇無くエアガンやら巻き微志やらばらまけるのも異常だ。
強烈なハイウェイカーチェイスを繰り広げていたら時刻はもう二十時を回っていた。
車庫の中は数個の電球で照らされていて明るい。バイク屋の車庫なだけあって、俺にはよく分からないメンテナンス道具が壁中に飾られてある。
オイル臭い感じもそうだ。
「連絡ならチビから聞いてる。お前ら大変だったな」
扉を開けて出てきたのは、つなぎを着たポニーテールの女性、坂巻真希。
俺が所属している組織“黒薔薇”の幹部クラスの人だ。
実は彼女の正体は異世界人。同じ現代日本と言う世界で、同じ風景街並みの場所、つまりは別の平行世界から来てしまった人。
どういう経緯でこっちに来たのかは分からないが、世の中にはひょんなきっかけから平行世界が入れ替わる人間が沢山いるらしいのだと。
さて置き。
「悪い、ベンツは逃しちまった」
「ヘリを捲いただけでも上等だ。チビが調べてみたが、重要な物は盗まれていなかったそうだ」
「それなら良いんだがな」
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