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「しかしわざわざ黒薔薇の金を盗むとは……一体どんな連中なんだ？」
ヘルメットを被ったままの桐谷が言う。コイツは先ず人前でヘルメットを取らない。
だから俺と、黒薔薇のボスである通称チビしか見たことはない。
彼の正体は宇宙人。最初は地球を侵略するために偵察に来たと言うが、バイクに一目惚れしそれは中止したのだと。
今はもっぱらバイクの事ばかりで、祖国……いや、祖星でバイクが流行る為に日夜バイクの研究をしているらしい。
「白薔薇っつう、学生とチンピラだけで結成されてる小さな集まりだよ。つい先週、チビが白薔薇の一員を八人捕まえたな」
「へぇ、そいつらどうなったんだ？」
「全員精神障害を起こして廃人になったよ。それでも尚黒薔薇の隙を見て荷物をパクる連中がいる」
「そりゃあとんでもない命知らずだな。お、良いオイルあんじゃん借りるぜー」
桐谷は自分のスポーツバイクを弄りだした。見事なまでにカスタム＆ドレスアップされている黒いスポーツバイク。
無音走行が出来る上にエンジンはニトロを入れても大丈夫な程強固。
おまけにリッター９０は走る燃費の良さで最高速度は４００キロ出る。
と、説明されたがバイク知識皆無の俺にはさっぱど分からん。
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