1章 赤髪の男

3/11
前へ
/130ページ
次へ
進は、 「4時までゲームしてたんだよ」 と答えた。 母は、 「………早く行くわよ。遅刻になるわよ」 と呆れた様子で言った。 「分かった」 と言い、進はリビングにある時計を見た。時計は12時40分を指していた。進は自転車通学だ。高校に行くには自転車で速くても20分はかかる。だけど進は違う。全力で行くと17分ぐらいで着く。だけど問題があった。それは…… 「じゃあ、行くわよ」 母だった。進は悩んだ。入学式に間に合わせるか、母と一緒に言って親子で遅刻になるか…1秒で決まった。入学式に間に合わせる、だ。 (母さんごめんよ。俺は入学式に遅刻はしたくはない) と心のどこかでそう思う進だった。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

616人が本棚に入れています
本棚に追加