平穏って

6/34
前へ
/492ページ
次へ
フゥ…と溜め息をついたストーカーはアタシを抱えたまま歩き、居間にあるソファに降ろしてくれた。 純和風でも居間は洋風なんだよね。 下は畳だけど。 あ…悠長に説明してる場合じゃないんだ!平穏に対処! 『ストーカーさん…ゴホゴホ。ご覧の通りアタシは体調ゴホッ体調が悪くて』 「風邪?」 『いえ…持病の…………』 「寿。持病なんてあった?」 『と、兎に角ゴホッ…今日の所はストーキングを諦めてパスタをお持ち帰りくだ』 「熱は?」 『のほぅッ!』 熱は?って言いながらオデコにオデコをこんにちはするから! 発した事ない奇声が! 「熱はない。良かった」 と、ふんわり笑ってサラリと髪を掻き上げられた。 わ…悪い人じゃないの? あ、着物の袖から良い匂い… 『え…何で着物?』 って… ちょい待って! ナニ? このストーカー…凄まじいイケメンと言うより麗人さんだし。 おでこを離したストーカーに、今頃…唖然としちゃったよ… ソファに寝そべるアタシを見下ろすのは、綺麗な白髪…に灰色がかった髪。 少し長めの前髪はポンパドール風に上げて、若紫色の紐で結ばれていて白髪に映える。 反して肌は…日本人…にはあり得ない琥珀色。 え……外国人? てゆーか…その目… 『目が…若紫色…』
/492ページ

最初のコメントを投稿しよう!

888人が本棚に入れています
本棚に追加