平穏って

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ガバッと勢い良く起き上がると狩衣とやらの胸元を掴む。 アタシの若紫をどこかに閉じ込めたり、縄でグルグル巻きに縛ったり―… 『ッねぇ!若紫はどこ!?アタシの事は好きにしていいから若は解放して!』 「寿。落ち着いて。だから俺が若紫だ」 『はあ?アンタが若の訳ないでしょうが!』 「でも俺が」 『アタシの若紫は犬!アンタは人!早く―…ッ!?』 掴んで揺さぶっていた狩衣が ぼわぁんッ 煙になって急に消えるから。 『なッ!?』 スカッとすかされてソファから転げ落ちた。 今…一体、ナニが起こっ―… ペロリ と、頬に温かい感触がしてハッと顔を上げたら、若紫が居た。 『若ッ!』 ガバッと抱き付いた途端、 ぼわぁんッ 「分かってくれたか?」 『………は?』 若紫が喋った… 恐る恐る顔を上げると。 何でアタシが琥珀色の麗人を…抱き締めちゃってんの? 「だから俺が若紫。いつも一緒に散歩したり買い物に行ったり…寝たり、たまにお風呂―」 『おおぉおおッ!?ッい、痛い!夢じゃない!』 抱き付いていたストーカーから飛び離れたら、後ろのソファの木枠に背中を強打して悟る。 痛い…夢じゃない… イタい夢じゃない…の!? 「背中大丈夫か?そうそう。ずっと言いたかった。寿のここ。黒子(ほくろ)が…せくしぃだ」
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