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飛び起きてカサカサと…台所や花屋の裏方に良く出現するあの、暗黒の悪魔の使いの様な素早さでソファによじ登る。
隅っこに小さく丸まった。
『あ、あああアンタがほんとに若紫なら…いつも…』
「何?」
『やめてぇ!そ、そんな甘ったるい何?なんて聞いた事ないから!それとこっち来るなぁ!』
「何で逃げる?いつもして―」
『ギャッ!言わないでッ!』
もう許して下さい。
神様仏様。
『悪霊退散~!』
「悪霊?」
『若の中から出て行ってよぅ』
「…俺は悪霊じゃない」
『…悪霊のストーカーなんて…アタシの平穏な人生が、至って普通を望んでた人生が』
「さっきからストーカーって…俺はボディーガードのつもりなんだが」
『こんなボディーガード聞いた事ないぃッ!』
やっぱり認められない。
こんな異次元の話、誰が信じられるっていうの…
「寿。こっち向いて」
『その言語は認められません』
「…仕方ないな。俺の寿は」
『ッ!誰がアンタのッ』
「やっとこっち見た。寿も俺の事を、アタシの若紫って言う」
『それはッ』
「嬉しいよ。だが、俺の本当の名は…[阿吽]と言うんだ」
『………アイーン…?』
「無理がある。[あうん]だ」
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