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そうだった…
そうだったぁ~!
犬の若紫とアタシ…一緒にお風呂に…何度も何度も何度も何度
『あばばば…何て事を…』
「あばば?寿、まさか溺れ―」
『てないてない!生きてますから!ドアを開けようとしないでぇ!』
「…チ」
…………え。
今…舌打ちした?
したよね…したよねぇ!?
『あ…う…あ』
「仕方ないから我慢する。一緒にお風呂入るの好きなのに…」
『悲しげな声出すの禁止ぃ!』
いいぃ…
綺麗に反響した。
「…耳痛い。俺の聴覚は犬並だから。あと嗅覚も勿論だけど」
や…厄介過ぎます…
『い!…いいから出てって』
「寿の好きなミルクティー淹れて待ってる」
それは有り難いですが、犬に…あぁ、犬じゃなかったんだ。
もう…ほんとに疲れた。
『癒しになってないし』
諦めて、髪や身体を洗うと脱衣場に出た。
今日はもう、ほんとに寝ないと明日また朝も早いし。
いつもならとっくに布団の中。
肩に届く濃いミルクティー色の髪にドライヤーを…
髪を乾かしてると睡魔がやっと帰って来てくれたアタシは。
毎朝の準備時短の為に役立つ内巻きパーマを整えもせず、居間へ戻った。
やっぱり…
夢だったらいいと祈りつつ…
若紫の紅茶を飲みに、ね…
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