平穏って

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「寿ちゃん!次は薔薇メインで50個ヨロシクね!」 『店長、一回帰っていいで―』 「あ、器はこの箱ね!」 『犬にご飯―』 「リボンは任せるよ!」 『お腹減っ―』 「オーナメントで適当に量も誤魔化して大体1500円位の元手になる感じね!」 『それを5000円で売るんで―』 「毎年の事じゃないか寿ちゃんてば!」 『過労死にます』 「若いから大丈夫!おじさんもヘロヘロで生きてる!じゃあ、夕方までにヨロシクね~!」 『……』 店長を止めようとしたアタシの手は空を虚しく漂って。 諦めてまた、ナイフを持った。 『いや、マジでお腹空いたんですけど』 母の日前の花屋はまさに戦場。 ううん、修羅場。 阿鼻叫喚の地獄絵図さながらの忙しさで。 本格的に生花ギフトアレンジを作り始めたのは昨日から。 それまではプリザーブドフラワーって言う、特殊な保存加工された花を使ってのギフト作り。 枯れないし随分前から作り置き出来るの。 そして今は。 昨日の朝から作業場に軟禁されて、アタシは一睡もせずひたすら作り続けて…今日の朝を迎えたのです。
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