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『た…だいま…』
とりあえず…
今日は終電前に解放されて、白目を剥きながら無事帰宅。
『お…風呂ぉ…お風呂に浸かんなきゃ腰がぁ…』
玄関をしっかり戸締まりして、コンビニの袋をぶら下げてフラフラと板廊下を歩く。
家は一軒家で純和風。
お父さんは仕事でほとんど家に居ない生活が、約5年。
でも寂しくなんてないよ?
アタシには…。
スァッと襖を開けて居間へ足を踏み入れる前に、大きな声で。
『若紫!ただいま!』
襖の真ん前にいつも通り座って待っていてくれたのは、アタシの大事な家族。
「クゥ~」
『ごめんね?ご飯多い目に入れといたけど…足りた?』
フワッとした身体を抱き締めると、鼻をピスピス言わせて尻尾もグリングリン振ってくれた。
普段からクールだけど…尻尾だけは制御出来ないんだね犬は。
若紫(わかむらさき)はアタシの家族。
大きなその身体は、白にほんの僅かの灰色が入った少し長めの毛に覆われていて。
それは白花(しろはな)色。
尻尾と、首横から胸にかけて…長くて少しカールしたフサフサがあって、凄くいい男(オス)!
しゃがみ込んで若紫に抱き付いてたアタシは、お気に入りのベスポジ…フサフサの胸毛に顔を埋めた。
『ハァ~若のマイナスイオン』
出てないけど…出てるの。
若紫イオンが…
ヤバイ……また寝落ちそ……。
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