平穏って

4/34
前へ
/492ページ
次へ
●●●●● 『た…だいま…』 とりあえず… 今日は終電前に解放されて、白目を剥きながら無事帰宅。 『お…風呂ぉ…お風呂に浸かんなきゃ腰がぁ…』 玄関をしっかり戸締まりして、コンビニの袋をぶら下げてフラフラと板廊下を歩く。 家は一軒家で純和風。 お父さんは仕事でほとんど家に居ない生活が、約5年。 でも寂しくなんてないよ? アタシには…。 スァッと襖を開けて居間へ足を踏み入れる前に、大きな声で。 『若紫!ただいま!』 襖の真ん前にいつも通り座って待っていてくれたのは、アタシの大事な家族。 「クゥ~」 『ごめんね?ご飯多い目に入れといたけど…足りた?』 フワッとした身体を抱き締めると、鼻をピスピス言わせて尻尾もグリングリン振ってくれた。 普段からクールだけど…尻尾だけは制御出来ないんだね犬は。 若紫(わかむらさき)はアタシの家族。 大きなその身体は、白にほんの僅かの灰色が入った少し長めの毛に覆われていて。 それは白花(しろはな)色。 尻尾と、首横から胸にかけて…長くて少しカールしたフサフサがあって、凄くいい男(オス)! しゃがみ込んで若紫に抱き付いてたアタシは、お気に入りのベスポジ…フサフサの胸毛に顔を埋めた。 『ハァ~若のマイナスイオン』 出てないけど…出てるの。 若紫イオンが… ヤバイ……また寝落ちそ……。
/492ページ

最初のコメントを投稿しよう!

888人が本棚に入れています
本棚に追加