乱気雲

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麻里、ちゃん だと。 「……」 しばらく静かに息を潜めて黙って聞いていると、 イチさんのワントーン上がった陽気な声 わ、あたしあんな声で話しかけられた事一回もない。 あー、そういえば。 と、渋い思い出がよみがえる 田所さんにも、あんなだったわ。 「麻里ちゃん可愛いからさー」 何が? 出張精算の事で麻里ちゃんとやらが来ているのはわかるけれど それ、いる? ってか、私はお前呼ばわりばっかりで、ちゃんとかつけて呼ばれた事は新人のときから一度もない! なんでだ!! と、気がつくと、 イラッ、としていた。
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