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――借りてきたビデオ。
見終わった頃には、日付が変わっていて。
目が、ショボショボした。
「イチさん、疲れてないんですか?」
「は?」
「……」
怖い。
この人の体力が、怖すぎる。
私は久しぶりの逢瀬に体力を根こそぎ持っていかれて、実は限界。
出張業務も正直、すごく体力を使うから
フラフラ。
虫の息。
意識は朦朧としていて、ぐったりしてるってのに
「フロ」
――出た。
出たよ!
「……はい」
渋々、返事。
どんだけ一緒に入りたいんですか。
ってそう思ったら、笑いが込み上げてきた
「なに」
「いえ」
なんだかんだで、この人。
子供みたいだな。
先にバスルームに行って、掃除をしようと準備をする
――なんか、結局体力仕事ばっかだな、と。
ため息をついた瞬間。
「お前はいいから、俺がやる」
イチさんのほうが先に出張に出てて
毎晩、ちゃんと寝てなくて
――疲れてるのは、同じなのに。
「いーですよ」
「いーから」
「――ふっ」
「なんだよ」
「優しいから、なんか。」
「お前、俺は優しいだろいつも」
どこが。
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