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好きなことにはかわりはないんだけど。
目の前で面倒くさいやり取りをしていたイチさんが無性に腹がたってきて。
いつまでもふわふわふわふわふわ……!
もっと大人になって下さいよ。
って、パソコンに数字を羅列されてゆきながら、淡々と指を動かす
無我夢中に打ち込んでいたら、気がついたらお昼休憩になっていた
立ち上がる、イチさん
「取引先まわって直帰」
はるか頭上から、イチさんの声が落っこちてくる
「かしこまりました」
他人行儀な声。
ぎこちない会話。
ツン、と。我ながら機械的に反応しちゃうな、ってわかっていても
身体が言うことをきいてくれない
始まったあの時から、いつからかこうなってしまった
イチさんといるときは、自分を殺して
何を得るために
何を守るために?
私は、ずっと。
我慢しすぎた。
だから、結局。
イチさんへの、接し方が
不自然にしか、ならない
怖いのかもしれない
でも、それがなんなのかはわからないし、――イチさんだけじゃない
私だって、どうしたらいいのかわからない
本音をぶつけ合う関係を築きあげてこなかったから
私達は、こんな特別な関係になってしまった
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