乱気雲

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甘くあまえて、可愛くなる、って。 ――どうしたらいいんだっけ。 そんな考えも、数秒で頭から消えて 出張精算や資料まとめ、次回の札幌用の準備をしていたら、夕方になってしまった 目の前の外線が光る 「お電話ありがとうご――」 「あー、成田?」 「ぶちょう」 「なんだその変な声」 出野部長の陽気な声がして、 「お疲れ様です、こっちにもうつきました?」 「ああ、さっき品川についた。ちょっと打合せが入って戻るんだけど、悪いけど手伝ってくれない?」 「え、今からですか!?」 時計はもう終業時間をさしている 「無理ならいいんだけど、断られないと有り難い」 「いや、私はいいですけど。部長は大丈夫ですか?」 「はは、慣れてるからな」 「ならいいですけど」 すっ、と 突然よぎる、 朝の国ちゃんの、言葉。 異動、か。
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