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まだ時間的に開いてた駅ビルにある百貨店まで二人で歩く
相変わらず会話は弾まない
ふらふら歩く美紗緒の姿を横目に見ながら、
違和感。
ずっとぬぐえないこの違和感は、なんだ
買い物も済ませて、ビデオ屋に寄る
興味の無さそうな美紗緒が、俺の背後でぼさっとつったっている
この微妙な間をどうにか埋めたくて借りたDVD。
見終わった頃には、日付が変わっていて。
しかも借りたDVDが不発で途中何回寝そうになったか。
なんだこのDVD!!
「イチさん、疲れてないんですか?」
「は?」
「……」
DVDにイラついてたら、横から美紗緒の視線
そんで、他人行儀なこの距離感。
何でお前そんな離れたとこにいんの?
そんでなんでそんな疲れた顔してんの。
もっと、お前は、こう
こう!!
「フロ」
寝たいのか、流石に。
しかしこれは譲れない。
譲れない俺の下心!!
フロは一緒に入る。
「……はい」
渋々の返事。
かと思いきや、俺が好きな笑い顔。
お?
「なに」
「いえ」
何だよ、ナニがツボったか教えてくれねーと、そのカオまたどーやったらしてくれんのかわからねーだろ。
バスルームに向かった美紗緒を目で追う。
フラフラしてる、
ああ、そっか
「お前はいいから、俺がやる」
疲れてんのな、そりゃそうか。
俺は出張慣れてるからいいけど、美紗緒はそうじゃない
「いーですよ」
「いーから」
「――ふっ」
あ、また。
「なんだよ」
「優しいから、なんか。」
「お前、俺は優しいだろいつも」
照れ臭いのと
やっと美紗緒が何回も笑うから。
嬉しくて
仕方ないけど顔には出さん!
かっこわるい
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