掛け違いの釦

6/40
前へ
/40ページ
次へ
そのまんまタクシー拾って荷物を一旦マンションに置いて、地元にある飯屋に行ったが だんまりな美紗緒 笑わない 笑わせて見たくてなんか色々言ってみても なんか、……愛想笑いなのが、ひしひしと伝わる、この感じ。 ああ、このいただけない空気をうみだしてしまったのは、――過去の俺と 今現在の、俺? って。 どうしたらいーかわかんねぇ 女の機嫌とりなんかしたことないし 無理してやったら、スベってる感丸出しだし。 焦る、 いや この俺様が焦るだなんてあってたまるか 「やっぱり着替えももうないし今日は帰りま……」 飯屋を出て、美紗緒の一言。 う、わ。 ちょ、――待て。 「買いにいきゃいーだろ」 つか、むしろお前荷物まとめでそのまんま来い って言いたいが、この気乗りしてない態度は、 まさか。 と、思ったら、 聞けない。 「……」 ほら、黙ってるし て、 「お前眠いの?」 「うん」 うん、て。 何気ない仕草が、なぜか感動するのは 俺だけなのだろうな、これは
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9780人が本棚に入れています
本棚に追加