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「わかってますよ」
ふわふわしたカオを緩ませて、見たかった笑顔の連発
「わかってりゃいーんだよ、どけ」
ああ、そうなんだ
これが、美紗緒なんだ
物腰が柔らかくて、角がなくて。
最終的には、笑って終わらせてくれる
居心地のいい空間をうみだしてくれる
そんなところが全部美紗緒で、
結局のところベタボレなのは俺のほう。
欲を言えばもう少し。
甘さがあったら、いいのに。
そんな甘さが、身ぐるみはがさねーと出てこない、って。
どんだけ鉄壁なんだ
フロを準備して、美紗緒が先に入る。
なん、別に同時に入ったっていーけど。
実は美紗緒がいるから嬉しくて、顔が今にも崩れそう。って、何気に俺も鉄壁?
だって今までどんだけ悔やんで
どんだけ欲しいと思ってたか、そんな反動。我慢する自信、さすがにない。
ガチャ、と。
バスルームのドアを開けたら
相変わらず湯船でタコみたく、桃色に染まってる、美紗緒
「イチさん」
「ん」
風呂場に響く、こもった声が、艶やかに濡れて響く
「なに」
「いえ」
美紗緒の声が、少しだけ甘ったるくなった気がして。
身体を洗って、湯槽につかるとお湯が目一杯溢れだした
「……」
じっと、上目に伺うように俺を見る美紗緒の瞳に吸い込まれそうに――いや、もうスイッチ入った
美紗緒が俺からふと、視線をずらした瞬間
逃がすもんか、って
衝動が先走って、
強く引寄せた身体。重なった唇を、待てずにすぐにこじ開ける
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