掛け違いの釦

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肌が触れたらもう理性なんかどこにもなくて、欲望まみれ。 でも、自己処理がしたいんじゃない 美紗緒の甘く鳴く姿が、見たいだけで。 狭い浴室の中じゃ、小さな吐息と共に漏れる声ですらよく響く 「いち、さ」 足りないんじゃない、でも満たされない こうやって腕の中で閉じ込めて 美紗緒を所有してんのが俺だって、この時だけは自分の欲に抗いたくないだけ いつだってこうしていたい いつだって、俺に翻弄されて、俺じゃないとダメだって、そのカオで。 俺を受け入れた身体から、繋がって響く甘えた声が、 その、何度も果ててく姿が。 何度も見たくて、 そんなに、俺じゃないとダメなの?って 優越感で、満たされる それで殻をやぶった美紗緒が俺の身体にしがみついて、我を失って壊れる姿で やっと自分の世界から抜け出せる 不器用でもいい 美紗緒と繋がる瞬間にしか不安が消え去らないなんて そんな人間らしい面が自分にあるって弱さは、認めてしまえば 嫌いだった自分も まんざらでもないな、と 思えるんだ
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