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とまあ、その理由はさして珍しくもない事だ。ただ単に、夫婦仲がうまくいってないだけ。
要するに、妻に会うのが嫌だったのだ。
これ以上ないくらい、実にわかりやすく、単純明快で子供じみた答え。
だがしかし、その言葉の真意は深く重い。他人が耳にすれば、爆弾発言に獲られかねないだろう。
だからって、本心はそうそう変えられるものではない。口にしないまでも、直哉の心の内では、妻への嫌悪感で満ち満ちている。
出来る事なら、顔も合わせたくない。そう思うと、いくら帰りたくとも前に進めない。
足に鉛の枷を嵌められたみたいに、拒絶反応を起こしてしまうのだ。
そうまで、彼を思い悩まさせる妻とは、一体・・・?
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