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橘 柚衣がソファの上に両足を抱えた格好で、声を震わせながら話始めた時、すぐにやめさせるべきだった。
話さなくていいから、と抱きしめてやるべきだったのに、出来なかった。
自分の中の暗い情念が、彼女の語る心の闇を求めハイエナのように獲物に狙いを定めているのを、どうする事もできなかった。
「いじめられっこだった……いじめるやつがサイテーだからってガードを固くしてたら、自分自身が自分の尊大さに耐えられなくなった。
お母さんも分かったんだ。
普通の人間じゃないって言ってた。
おまえなんか生みたくて生んだんじゃ無いって言われた。
うん、私も生んで欲しいって頼んで無いって、言い返したよ。
生まれて来たくなんて無かったって。
私の体の中、全部真っ黒だった。
どす黒くて醜い気持ちでいっぱいだった。
周りの皆全部バカにしてた。
お母さんなんか、私が、自殺してるの見て後悔すればいいって思ってた。
いつもリストカットしてた。
でも、友達がいてくれたし。
最後までやる勇気も無くて、時々は前向きになれることもあったし。
それでも、何とかやってたんだ。」
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