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「絶対、私のいない所で読んでください。
感想とかも無し。小説の話はいっさいしない。
いいですか?」
「徹底してるね、了解。」
「じゃあ、送ります。」
「あ、来た。
酷い、URLだけだ。」
「絶対秘密ですからね。」
「秘密ねはーと、とか、入れてもいいんじゃない?」
「………」
先生は大人しくスマホをテーブルの上に戻した。
私も自分のケータイをリュックに仕舞おうとしたら、チャラ~とメールの着信音がする。
一応確認しとこう、と開いてみたら。
伊織だった。
ランドのお誘い―――
今から予定を入れちゃえば良くない?
「先生!
2日の日もここに来ていいですか?」
「どうしたの急に?
2日ね、う~ん仕事しようと思ってるんだけど。」
「そっか。お邪魔ですね……」
「だから、どうしたの?」
「ランドに誘われて、断る理由無いかなって…」
「へ~友達?」
「腐れ縁のやつが誘って来て…」
「男なんだ…」
「同中の子達と一緒にって、ちょっと憂鬱で…」
「ふ~ん、嫌なら断ればいいだけじゃ無いの?」
ん?先生が無表情でなんか機嫌悪くない?
気の所為?
「そう、そうなんですよね、あはは、すいません。
先生関係ないのに、煩わしちゃってすみません。」
あってる?今ので、OK?
先生、スマホ持って背中向けてて、なんかその背中見たくないんだけど。
不機嫌オーラ出て無い?
「あ、じゃあ、私これで帰ります。
先生の事教えてくださいね?約束ですからね。」
「待って、送って行くから」
「先生、夜じゃないし、近いし、先生と一緒の方がまずいでしょ?
大丈夫、マンション出る時だけ、気を付ければ…」
「待てって言っただろ!」
突然、肩を掴まれて、強い口調で引き止められて、茫然と先生を見上げる。
先生の強張った顔が歪んで、自嘲を込めた口元が片側だけ上がる。
「ごめん、お願いだから、送らせて。
悪いけどもう一度男の子になってくれる?」
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