先生と子猫な私

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 翌日も先生のマンションに居た。  今日の服装は自分のジーパンに男の子Tシャツにパーカー。  マンションのちょっと前でリュックから帽子を取出し、サイドの髪を後ろにやりながら被る。  閉めてあったパーカーの前を開けて出来上がり。  危険なトイレでの変身も無し。  管理人室に向かって頭を下げながら通りすぎる。  先生に電話する時は緊張した。  先生とか、私とか、NGワードが多すぎる。  「あの、着きました。はい。はい。」    そんな感じ。  先生、あんな事言う位なら管理人さんに男の子だって思わせる必要無いと思うんだけど。  でもまあ普通、男の子なら変な詮索はされないよね、普通は。  先生、用心深いのか、遊んでるだけなのか、ちょっと疑問。  先生の変態的趣味に付き合わされてるだけかも、なんて考えて「喝」。  自分の妄想に蓋をする。  昨日は久しぶりに夕飯を作ってお父さんと食べた。  焼き魚と味噌汁とお浸しにご飯。    TVのお笑い番組を見ながらご飯を食べて、お互いあまり突っ込んだ会話はしない。  明日も出かける、夕飯はじゃあ連絡する。  無理して、作らなくていいよ。夜もそのままお店かも知れないから。連休だからね、人手が足りないんだ。でも今日はありがと。ごちそう様。柚衣は料理上手だね。洗い物はお父さんするから。そしたらまた出るけど、戸締りちゃんとするんだよ。  はーい。ごちそうさま。  そして、自分の部屋でイヤフォンから流れるSOUの唄を聴きながら先生の事を考えた。  先生は私をどう思っているの?おもちゃ?猫?放っておけない子供。  先生の本心はいつも冗談に誤魔化されて良く分らない。  昨日みたいにエレベーターが開くと先生が出迎えてくれて、また肩に手を回されて部屋に入る。  先生は白いTシャツにダメージジーンズ、そしてパーカー。  似たような格好に笑ってしまう。    「機嫌がいいね?昨日別れる時はもう来ないかと思ったよ。」    嘘だ。  ちょっと拗ねた振りをしたけど、絶対見透かされてた。  「すぐ、メールしました。」  「そうだね。明日行きます。いいですか? 男の子みたいなメール。」    むしかえしたい?
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