先生と子猫な私

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   キッチンを出ると左側の壁に寄せられた食卓テーブルがすぐある。  PCの他に雑誌や、書類や、ペン立てにしてるマグカップやらでいっぱい。  先生の部屋で一番混沌としている場所かも知れない。  「先生ここでご飯食べた方が楽じゃないですか?」  「他に机が無いんだよ。まあ一人だと今の状態で十分?」  私が食卓椅子に腰かけ、先生が後ろから立ってPCを覗き込む。  どうもこういう体勢を取られることが多いような気がする。  後ろから私の体を閉じ込めるように左手をテーブルに付き、右手が肩越しにPCを操作する。  先生の頭が私のすぐ上から液晶を見ている。  私の心電図を見て心配するお医者さんを思い浮かべて平静を保つ。  お昼のメニューだってば。  サラダの野菜を使い切ろうと、サラダうどんを提案。  おつゆは作った方がおいしいかも知れないけど、買い物の量が増えるし、使い残した調味料の事を考慮すれば麺つゆを買うのがベストだよなあとか、考えながら買い物リストを制作。  さりげなく、先生がアスパラが好きだとか、シソとかゆずとか香りの強い物が好きな事が判明して、秘かにガッツポーズした。  「橘の名前って柚子に衣だよな、ゆずごろもって料理にあるのかな?」  「一度、調べた事あるんですよ。  そしたら、和菓子に柚衣と書いてゆずごろもと読むお菓子がありました!  えーっと検索したら出て来ると思うんですけど」  先生がキーボードに両手を乗せると、すっかり頭が挟まれてしまう。  ちょっとこれは…なんて思ってると。  「あった、ホントだ。  『ゆずごろも』柚衣と書くね。  これ、おいしそう、食べたいね。」  中身をくり抜いた柚子の皮を甘く炊いて、中にお店独自の餡を詰めて蒸して出来上がりらしい。    「ああ、でも柚衣を食べたいなんて言ったら、また君の妄想が暴走しそうだからやめようね?」    至近距離で私の顔を覗き込んで、そんな嬉しそうな顔して、何を言うんですか先生!  「はは、また真っ赤だ。カワイー」  先生、ちょっとキャラ、違いませんか?私の心電図、ホントやばいです。
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