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「その時、歌ってた唄に私が感動して泣いちゃって、そしたら、プレゼントだって、自作CDをくれたんだ。
その歌は、私の恩人…って言ってもいい位で。
今でも毎日聴いてて、そしたら駅ビルのスーパーで偶然会っちゃって。」
「お前のこと、覚えてたのかよ。」
「うん、もう凄く泣いてたから。
それで、印象に残ってたみたいで、それにその時その人も音楽やって行くかどうか悩んでいた時だから、私が泣くほど感動したのが嬉しかった。って、言ってくれた。」
「嘘くせー。」
「伊織が信じなくても事実だもん。」
「分った。
100歩譲って、そこまでは信じてやるよ。
でも、じゃあどうして変装すんだよ。
おやじさんにばれたって、問題ねーだろ?
胡散臭いのはそこだよ、後ろめたいことが無かったら変装なんかしねーだろ?」
「や、さっきも言ったけど、地元で昔からお店とかしてると私が知らないのに向こうは知ってるとか言う人が結構いたりして、悪い事してなくてもお父さんになんて言うか、ほら伊織みたいに言ったらその人に迷惑掛かっちゃうし。」
「だから、お前がそこまで入れ込む理由だよ。
お前みたいな今まで男のおの字も無かったやつが、まるで脈の無い男に本気になるはずねーだろ?
なんか、うまいこと言われてたらし込まれてる、って考えたっておかしく無いだろ?
だっておまえだよ?
童顔のちびの幼児体型の。
どう考えたって変態だろ?
なんて言ってたらし込まれたんだよ。
お前の気が付かないうちにネットにお前のローアングルの写真とか出てるかもしんねーじゃん。」
バコン
2Lのお茶のペットボトルが伊織の頭に炸裂音を立てる。
半分しか入ってなくて、威力も半減したかと思うと残念でならない。
「っいってー!何すんだよ柚衣!」
「どうせ、童顔のちびの幼児体型だよ!
それでも本気なんだよ!
大事で大切で好きだって言ってもらったんだ!
伊織なんか関係無い。
人の世話なんか焼いてないで自分の事考えなよ!
マネージャーの子を宙ぶらりんにして、たらし込んでるのは伊織だろ!」
「何だよそれ。
俺がマネージャーたらし込んでるって?」
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