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先生の部屋のリビングで、ソファに座っていると、一昨日の事がどんどん甦ってきて、心拍数が上がって来る。
彼女って思ってていいんだから。
へへ……あ、そうだ、伊織に見られたんだ。
一瞬忘れて浮かれてた自分がどうかしてる。
それを先生に内緒にした方がいいのか、相談した方がいいのか、ずっと悩んでるって言うのに……
「で、何があった訳?」
「それが……」
お茶とコップを持った先生がいきなり現れて聞いて来るからうっかり話しそうになってしまう。
いけない、いけない。
話したら、絶対もうここに来ちゃだめとか、彼女って言うのも無しとか、そう言いそうな気がする。
伊織には口止めしたけど、あいつ、どうやって探るつもりだろう。
と一人で考えていたら、先生の両手が突然両頬を挟んでグイと私の顔を自分に向ける。
「もしもし、ゆいさん。
その無い頭でぐるぐる考えてないで俺に話せって言ってるんだけど。」
ぎゃー、出てしまいましたよ、ドS先生。
白を切っても無理……?
「言っとくけど、ずっと何か抱えて悩んでるのもろバレだから。
委員会で一緒だった、坂口とひどい喧嘩したって長谷川が教えてくれたけど、それと関係あるのかな?」
「え~と」
「目が泳いでる。関係あるんだ。」
いや~ん先生、いきなり断定?そこ疑問形でしょ?普通。
何か言わなくちゃ、喧嘩の理由…
「あ、あのですね。伊織が、私の事を物凄くけなすもんだから私も切れちゃって、ゆーかちゃんに聞いたんですけど、テニス部のマネージャーが伊織に告白したけど宙ぶらりんのまま、マネージャーは続けてくれって言われたって、それを持ち出してつい、極悪非道だって言い返してしまって…それが昨日の話で…」
「昼休みに謝りに行ったんだろ?」
「それもゆーかちゃん情報?
そーなんですよ、朝、ゆーかちゃんから聞いたんですけど、伊織のやつ早速朝練の時にマネージャーに謝ったらしくて、まあ状況は変わらないみたいだけど。
マネの子が感謝してたって、私にって、教えてくれて。
私は、伊織が、お前みたいなのはたらし込まれてるだけだって言うからたらし込んでるのは伊織だろって逆切れしただけだから。」
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